ここは朔が支配人を務める劇場《閑古鳥の啼く朝に》のサロンです。上映案内から、日々のつれづれ事まで。 のんびりまったり更新中。renewal:07/05/02
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「……なんだ、」
一拍あけてソリュートが応じると、子どもは「あどけない」と形容するにはほど遠い笑みを浮かべて振り返った。
「一度礼を言おうと思っていた。よくぞ放り出さずここまで育ててくれた。人間にしてはなかなか見所がある」
子どもは立ち上がり、ソリュートを真っ直ぐに見上げる。
青玉色の瞳に移り込む自分の姿を確認し、ソリュートはふむ、と顎を一撫でした。
と、子どもの視線がついと動き、それに合わせて小さなてのひらも動いた。
何かを手招きするように手をひらめかせるが、ソリュートの目には何も映らない。
子どもは細い腕で輪をつくると、何かを抱き寄せるようにそこへ頬ずりした。
「……何がそこにいる?」
ソリュートの問いに子どもは答えず、笑みを閃かせた。
「おまえが知る必要はない」
ふぅ、と小さく息を吐くと、ソリュートはやれやれと首を横に振った。
「それで、おまえの正体は一体何なのだ」
直球でそう尋ねる。
しかし返ってきたのは必ずしも直球ではなかった。
「おまえの想像している通りだと思うが?」
「ほぅ?」
おもしろがるように片眉を上げたソリュートを見上げ、子どもまた口元だけで笑みを形作った。
「しかし、仮にも今は私の息子なのだ。それらしく振る舞ってくれ」
「分かってるよ、お父様」
トリアスはそう言うと、にっこりと無邪気に笑ってみせたのだった。
一拍あけてソリュートが応じると、子どもは「あどけない」と形容するにはほど遠い笑みを浮かべて振り返った。
「一度礼を言おうと思っていた。よくぞ放り出さずここまで育ててくれた。人間にしてはなかなか見所がある」
子どもは立ち上がり、ソリュートを真っ直ぐに見上げる。
青玉色の瞳に移り込む自分の姿を確認し、ソリュートはふむ、と顎を一撫でした。
と、子どもの視線がついと動き、それに合わせて小さなてのひらも動いた。
何かを手招きするように手をひらめかせるが、ソリュートの目には何も映らない。
子どもは細い腕で輪をつくると、何かを抱き寄せるようにそこへ頬ずりした。
「……何がそこにいる?」
ソリュートの問いに子どもは答えず、笑みを閃かせた。
「おまえが知る必要はない」
ふぅ、と小さく息を吐くと、ソリュートはやれやれと首を横に振った。
「それで、おまえの正体は一体何なのだ」
直球でそう尋ねる。
しかし返ってきたのは必ずしも直球ではなかった。
「おまえの想像している通りだと思うが?」
「ほぅ?」
おもしろがるように片眉を上げたソリュートを見上げ、子どもまた口元だけで笑みを形作った。
「しかし、仮にも今は私の息子なのだ。それらしく振る舞ってくれ」
「分かってるよ、お父様」
トリアスはそう言うと、にっこりと無邪気に笑ってみせたのだった。
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