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ここは朔が支配人を務める劇場《閑古鳥の啼く朝に》のサロンです。上映案内から、日々のつれづれ事まで。          のんびりまったり更新中。renewal:07/05/02
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2024.05.02 (Thu)
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2011.01.01 (Sat)
 知的好奇心に駆られて引き取った赤子であったが、普段のソリュートが研究に忙しいことに変わりはない。
 使用人たちに任せきりにしているうちに月日はあっという間に過ぎ、久々にソリュートの意識が我が子に向いたとき、それは実に誕生から5年の月日が経っていた。
 トリアスの所在を使用人に訊き、子供部屋を訪れたソリュートは、驚きに目をみはった。
 家庭教師について勉強をしている我が子の姿は、ソリュートのかすかな記憶の中にあるものとはまったく異なっていた。
 髪の色はありふれた栗色に、瞳の色は青玉色に。
 一見するとごく普通の子どもに見える。
 でも、だからこそそれはとても不自然だった。
 しばらく黙って授業風景を見学した後、一礼と共に教師が去ると、ソリュートは用心深く子どもの背後から近付いた。
 形の良い頭を細いさらさらの髪が包み、華奢な首筋といい丸みを帯びた肩のラインといい、見た目はあどけない5歳児そのものだ。
 好奇心を抑えきれず、右手をその後頭部に伸ばそうとした時、
「ソリュート、」
 先に話しかけてきたのは、依然前を向いたままの子どもの方だった。

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