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ここは朔が支配人を務める劇場《閑古鳥の啼く朝に》のサロンです。上映案内から、日々のつれづれ事まで。          のんびりまったり更新中。renewal:07/05/02
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ぶち考
2008.12.14 (Sun)
ちょっと思ったこと。

 大学時代の友人に、山口県出身の子がいて。
 その子から聞いた話。

 山口県の方言に「ぶち」というのがあるらしい。
 意味は(記憶が正しければ)「とても」みたいな感じで、程度を表す副詞として用いられる。
  ex.「ぶちすごい」=「とてもすごい」

 で、ふと思ったんですけど。

 ぶち殺す・ぶち倒す・ぶちのめす・ぶち壊す・ぶちかます・ぶち抜く・ぶちまける……

 これらの「ぶち」はみんな、山口の方言の「ぶち」と同じなんじゃないかなーと。
 あくまで思いつきですけどね。
 ちなみに広辞苑を引いてみると、これらの「ぶち殺す」などの「ぶち」には「打ち」の字が当てられてました。
 ま、ここは広辞苑じゃなくて日本国語大辞典くらいを引くべきところなのでしょうが(朔の母校の大学の教授陣は広辞苑を百科事典扱い)、うちにはないので致し方なし。

 で、話を「ぶち」に戻しますと。
「ぶち殺す」も「ぶち倒す」も、いずれもただ「殺す」や「倒す」という時に比べて、その程度が甚だしいこと、より負の感情が込められているように感じます。
 そうなんです、いずれもマイナスイメージの動詞の接頭語として付くように思われるんですよねぇ。

 これがさらにひどく(?)なると、「ぶっ殺す」や「ぶっ倒す」など、「ぶち」が「ぶっ」へと格上げ(?)されるわけです。
 促音になることで、なんだかこう、音に勢いが生まれますねぇ。笑
 もしくは例外的に、「ぶん殴る」「ぶん回す」など、撥音化するものもあったり。

 これはですね、例えば「しかり」から「しっかり」へ、「すきり」から「すっきり」へなったりと、他の言葉でも多々あるケースなんですよ。
 まぁこれら場合は程度に差があるわけではなさそうですけど。

 ちなみに、国語学の中には柳田国男の『蝸牛考』で有名な「方言周圏論」というのがありまして、これは近畿を中心として、同心円状に言語は伝播していった、というものです。
 だから九州と東北とかっていうように、離れた地域で同じ言葉が使われていたりするらしい。

 そこから思ったんですけど、「ぶち」ってやっぱり元々「とても」っていう副詞としてフツーに使われてたんじゃないかなぁ、方言じゃなくて。
 それが次第に廃れていって、今は一地方にしか残らなかった。
 それでも今でもごく一部、マイナスイメージの動詞の接頭語してのみ全国的に使われているのは、昔の名残なのかなぁ、と思ったり。
 
 これらは大学時代から気になってたことで、昨日久々に「ぶち殺す」にお目に掛かった(読書中)ので、思い返してみた次第。
 一瞬、卒論にしてみようかなぁと思ったこともありますが、朔は山口県とは縁も所縁もないのでやめときました。
 というわけで、先行研究があるかどうかすら調べてません。
 あてずっぽうに考えただけで、事の真偽もまったく確かめてません。

 でも、こうやって学問を離れて遊び半分で考えてみるのも結構楽しかったり。笑

 大学時代、こんなことを考えてたんだよーという記録として留めておきます。

ではでは。

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