ここは朔が支配人を務める劇場《閑古鳥の啼く朝に》のサロンです。上映案内から、日々のつれづれ事まで。 のんびりまったり更新中。renewal:07/05/02
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さてさて秋の夜長に本について無駄に熱く語ってみます。笑
★田中芳樹さん
たぶん朔より年長の方たちには『銀河英雄伝説』の作者さん、と言ったらよく分かると思うのですが。
朔と同世代、あるいは下なら『創竜伝』、アニメ化もした(している)『薬師寺涼子の怪奇事件簿』シリーズ、『タイタイニア』の作者さん。
でも朔は『銀英伝』は読んでないんですね。
何から入ったかというと、たぶん高2の修学旅行の時、旅のお伴に関空の本屋さんで『夏の魔術』を買ったのがはじめだと思います。
そこから、『創竜伝』、『薬師寺涼子』、『夏の魔術』に連なる他3冊、その他と手を広げました(あれ? もしかしたら『創竜伝』が入口だったかもしれません?)。
で、今回驚いたんですよ。
講談社のYA! ENTERTAINMENTから『創竜伝』が新装刊行されるというではありませんか。
対象年齢は「中学生から」ということですが……。
えーと、新装刊行ということは、内容の改訂は行わない……んですよね??
えーと、えーと、じゃあやっぱりソ連が健在だった頃のお話からはじまるんですよね?
ヘ、平成生まれの子たちに、ソ連て……(絶句)。
そして、あの偏執的とすら言えそうな社会風刺や社会批判を、子どもたちの目にさらすのですね?汗
あのマニアックなまでの中国史薀蓄に、漢文を習い始めたばかりの(世界史なんて知りもしない)中学生を巻き込むんですね?笑
今回1巻から読み返して、朔でさえ「歴史」を感じてしまったというのに、今の中学生の子どもたちが『創竜伝』を読んで、田中芳樹という作家にどういう印象を持つのか、すごーく興味があるというか、気がかりでもあります。
まず第一に、強烈な社会風刺に対して食傷気味になるあまり、読む気が進まず、「つまんなーい」と思われるのではないかということ。
第二に、経済とか歴史とか、小難しくて「つまんなーい」と思われるのではないかということ。
第三に、そういう小難しいところや、読めない漢字なんかすっとばして読む場合、まったく作者の意図していない受け止め方をされるのではないか、ということ。
ああ、どれも不幸だなぁ……。
ま、いつの時代も本を読む子は読むし、読まない子は読まないのです。
だからして、今の中学生に「読む力」がないとは言いませんが。
言いませんが。
ちょぉっと、対象年齢を間違えてませんかぁ?と思ってしまいます(だいたい中学生なんて、1年生と3年生じゃえらい違いですよ)…。
『創竜伝』て、元はと言えば講談社ノベルスから出てたんですよ。
講談社ノベルスといえば、氏の巻末会談か何かに、女子高生が講談社ノベルスの『創竜伝』を読んでいたら、その父親が血相を変えて本を取り上げた、という笑い話が載ってるくらい、アダルティ(笑)らしいですよ?
ま、その後文庫化に伴ってイラストがCLAMPさんに代わりハイティーンの手に触れやすくなり、漫画化にともなってさらに入口は広がったんでしょうけれど。
でもだからって、中学生……。
中学生が読んでも、もちろん楽しめると思います。
でもそれは4兄弟の設定が奇想天外で面白いとか、表面の面白さをなぞるだけで、世界とか歴史とか人間のあり方とか、そういうの全てひっくるめた作品としての面白さではないような、気が。
売れてるから、面白いから、という理由だけでの新装刊行なら、ファンとしてビミョーだなぁ。
だってね、確かに『創竜伝』は田中芳樹さんの代表作の1つだし、面白いけれど、中学生に読んで欲しい本ならもっと他にあるんです。
田中芳樹さんの手掛ける児童文学って、『創竜伝』や『銀英伝』ほどは脚光を浴びてないけれど、すばらしいと朔は思うのですよ。
売れてる・売れてない、だけが本を選ぶ基準じゃないと声を大にして言いたい。
例えば、『アップフェルラント物語』。
朔はこれを大学入ってから読みましたけど、久々に良い1冊に出会ったなーと思う作品でした。
ドキドキワクワクの冒険活劇の好きな子なら絶対お薦め。
もしかしたら、この本をきっかけに歴史に興味をもつ子が出てくるかもしれない!
王道をゆく、それでいて古臭くもお説教臭くもない物語です。
他にも『ラインの虜囚』『晴れた空から突然に…』あたりが、抵抗なく入れるかなーと思うのですが(『ラインの慮囚』は未読)。
だけど『創竜伝』なのかぁ……。
そもそも『創竜伝』はまだ完結していないのであって。
まだ未完の作品(それも、定期新刊というわけですらない)を、ノベルス、文庫化、そして今回の新装刊行、と、挿画と体裁を変えることで手を替え品を替えしながら売ろうとする、その商魂に嫌気が差すのは…朔がオトナになってしまったからでしょうか。
なぁんか、出版社の都合に踊らされてるだけのような気が。
それより何より先にすべきは、作品を大団円へ導くことなのでは?
新たな読者層を広げるよりも、商業出版であるかぎり、古い読者のニーズ(最新刊はまだか!)に応えることの方が先なのでは?
朔さん、自分では正論を言ってるつもりなんですけどねぇ……。
しかしそれが通用しない世の中なのか。
ああ無情。
(そして万が一、中学生向けに『創竜伝』を改訂してあった場合、「そんなことして暇があるならさっさと続きを書け!」と喉から血が出るほど叫びたい。笑)
プロの仕事は、風呂敷をたたんでナンボである。
その意味では、『創竜伝』よりも『夏の魔術』シリーズの方が名作である。
★田中芳樹さん
たぶん朔より年長の方たちには『銀河英雄伝説』の作者さん、と言ったらよく分かると思うのですが。
朔と同世代、あるいは下なら『創竜伝』、アニメ化もした(している)『薬師寺涼子の怪奇事件簿』シリーズ、『タイタイニア』の作者さん。
でも朔は『銀英伝』は読んでないんですね。
何から入ったかというと、たぶん高2の修学旅行の時、旅のお伴に関空の本屋さんで『夏の魔術』を買ったのがはじめだと思います。
そこから、『創竜伝』、『薬師寺涼子』、『夏の魔術』に連なる他3冊、その他と手を広げました(あれ? もしかしたら『創竜伝』が入口だったかもしれません?)。
で、今回驚いたんですよ。
講談社のYA! ENTERTAINMENTから『創竜伝』が新装刊行されるというではありませんか。
対象年齢は「中学生から」ということですが……。
えーと、新装刊行ということは、内容の改訂は行わない……んですよね??
えーと、えーと、じゃあやっぱりソ連が健在だった頃のお話からはじまるんですよね?
ヘ、平成生まれの子たちに、ソ連て……(絶句)。
そして、あの偏執的とすら言えそうな社会風刺や社会批判を、子どもたちの目にさらすのですね?汗
あのマニアックなまでの中国史薀蓄に、漢文を習い始めたばかりの(世界史なんて知りもしない)中学生を巻き込むんですね?笑
今回1巻から読み返して、朔でさえ「歴史」を感じてしまったというのに、今の中学生の子どもたちが『創竜伝』を読んで、田中芳樹という作家にどういう印象を持つのか、すごーく興味があるというか、気がかりでもあります。
まず第一に、強烈な社会風刺に対して食傷気味になるあまり、読む気が進まず、「つまんなーい」と思われるのではないかということ。
第二に、経済とか歴史とか、小難しくて「つまんなーい」と思われるのではないかということ。
第三に、そういう小難しいところや、読めない漢字なんかすっとばして読む場合、まったく作者の意図していない受け止め方をされるのではないか、ということ。
ああ、どれも不幸だなぁ……。
ま、いつの時代も本を読む子は読むし、読まない子は読まないのです。
だからして、今の中学生に「読む力」がないとは言いませんが。
言いませんが。
ちょぉっと、対象年齢を間違えてませんかぁ?と思ってしまいます(だいたい中学生なんて、1年生と3年生じゃえらい違いですよ)…。
『創竜伝』て、元はと言えば講談社ノベルスから出てたんですよ。
講談社ノベルスといえば、氏の巻末会談か何かに、女子高生が講談社ノベルスの『創竜伝』を読んでいたら、その父親が血相を変えて本を取り上げた、という笑い話が載ってるくらい、アダルティ(笑)らしいですよ?
ま、その後文庫化に伴ってイラストがCLAMPさんに代わりハイティーンの手に触れやすくなり、漫画化にともなってさらに入口は広がったんでしょうけれど。
でもだからって、中学生……。
中学生が読んでも、もちろん楽しめると思います。
でもそれは4兄弟の設定が奇想天外で面白いとか、表面の面白さをなぞるだけで、世界とか歴史とか人間のあり方とか、そういうの全てひっくるめた作品としての面白さではないような、気が。
売れてるから、面白いから、という理由だけでの新装刊行なら、ファンとしてビミョーだなぁ。
だってね、確かに『創竜伝』は田中芳樹さんの代表作の1つだし、面白いけれど、中学生に読んで欲しい本ならもっと他にあるんです。
田中芳樹さんの手掛ける児童文学って、『創竜伝』や『銀英伝』ほどは脚光を浴びてないけれど、すばらしいと朔は思うのですよ。
売れてる・売れてない、だけが本を選ぶ基準じゃないと声を大にして言いたい。
例えば、『アップフェルラント物語』。
朔はこれを大学入ってから読みましたけど、久々に良い1冊に出会ったなーと思う作品でした。
ドキドキワクワクの冒険活劇の好きな子なら絶対お薦め。
もしかしたら、この本をきっかけに歴史に興味をもつ子が出てくるかもしれない!
王道をゆく、それでいて古臭くもお説教臭くもない物語です。
他にも『ラインの虜囚』『晴れた空から突然に…』あたりが、抵抗なく入れるかなーと思うのですが(『ラインの慮囚』は未読)。
だけど『創竜伝』なのかぁ……。
そもそも『創竜伝』はまだ完結していないのであって。
まだ未完の作品(それも、定期新刊というわけですらない)を、ノベルス、文庫化、そして今回の新装刊行、と、挿画と体裁を変えることで手を替え品を替えしながら売ろうとする、その商魂に嫌気が差すのは…朔がオトナになってしまったからでしょうか。
なぁんか、出版社の都合に踊らされてるだけのような気が。
それより何より先にすべきは、作品を大団円へ導くことなのでは?
新たな読者層を広げるよりも、商業出版であるかぎり、古い読者のニーズ(最新刊はまだか!)に応えることの方が先なのでは?
朔さん、自分では正論を言ってるつもりなんですけどねぇ……。
しかしそれが通用しない世の中なのか。
ああ無情。
(そして万が一、中学生向けに『創竜伝』を改訂してあった場合、「そんなことして暇があるならさっさと続きを書け!」と喉から血が出るほど叫びたい。笑)
プロの仕事は、風呂敷をたたんでナンボである。
その意味では、『創竜伝』よりも『夏の魔術』シリーズの方が名作である。
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